矢野歯科医院
         

根管治療時に装着するラバーダムとは?根管治療の成功率を高める大切な処置、行うかどうかで変わる治療予後|京都府宇治市伊勢田町の歯医者・歯科|矢野歯科医院 宇治歯科診療所

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根管治療時に装着するラバーダムとは?根管治療の成功率を高める大切な処置、行うかどうかで変わる治療予後
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はじめに|なぜ当院はラバーダムを大切にしているのか

「神経の治療をしたのに、また腫れてしまった」
「何度も同じ歯を治療している」

こうしたお悩みの背景には、治療中に細菌が入り込んでしまうことが関係している場合があります。

当院では、治療の成功率を少しでも高め、歯を長く守るために
**ラバーダム防湿(ラバーダムを使った治療)**を、保険診療でも積極的に使用しています。

この記事では、

  • ラバーダムとは何か

  • なぜ根管治療(神経の治療)で重要なのか

  • 海外ではどのように考えられているのか

を、できるだけわかりやすくお伝えします。

ラバーダムとは何か

ラバーダムの基本的な仕組み

ラバーダムとは、薄いゴム製のシートを使って、治療する歯だけをお口の中から隔離する器具です。

治療する歯の周りにシートをかけることで、

  • 唾液

  • 口の中の細菌

  • 舌や頬

が治療部位に入らないようにします。

ラバーダムはどんな治療で使われるのか

主に使われるのは

  • 根管治療(神経の治療)

  • 精密な詰め物・被せ物の治療

など、高い清潔さと正確さが求められる治療です。

特に根管治療では、ラバーダムの有無が治療結果に大きく影響します。

海外では当たり前に使われている理由

欧米では、ラバーダムは
「根管治療を行う上での標準的な処置」
として位置づけられています。

歯内療法(根管治療の専門分野)のガイドラインでも、
ラバーダムの使用が強く推奨されています。

根管治療(神経の治療)とは

根管治療の目的と難しさ

根管治療とは、
歯の中にある**神経や血管(歯髄)**を取り除き、内部を清掃・消毒する治療です。

歯の根の中は非常に細く、複雑な形をしているため、
とても繊細で難易度の高い治療です。

根管治療が失敗するとどうなるのか

治療がうまくいかない場合、

  • 再び細菌が増える

  • 歯の根の先に膿がたまる

  • 抜歯が必要になる

といった結果につながることがあります。

治療の成功率に影響する要因

根管治療の成功率は、

  • 治療中の清潔さ

  • 細菌をどれだけ入れないか

  • 正確な処置ができる環境

によって大きく左右されます。

 

ラバーダムが根管治療の成功率を高める理由

唾液や細菌の侵入を防ぐ効果

お口の中には、数百種類以上の細菌が存在しています。
唾液にも多くの細菌が含まれています。

ラバーダムを使わずに治療を行うと、
治療中に細菌が根の中へ入り込んでしまう可能性があります。

再感染を防ぐ重要性

根管治療では、
「一度きれいにした根の中に、再び細菌を入れないこと」
が非常に重要です。

ラバーダムは、治療中の再感染を防ぐ最大の防御策です。

治療精度を高める環境づくり

ラバーダムを使用すると、

  • 視野が安定する

  • 治療器具が使いやすくなる

  • 集中して処置ができる

結果として、治療の精度そのものが向上します。

海外論文が示す成功率の違い

海外の研究では、
ラバーダムを使用した根管治療の方が成功率が高い
ことが報告されています。

特に再治療のリスクを下げる点で、
ラバーダムの有用性が示されています。

 

ラバーダムと感染対策

口の中にはどれくらい細菌がいるのか

健康な方でも、口の中は細菌が多い環境です。
炎症や虫歯がある場合、さらに細菌量は増えます。

治療中の細菌混入が引き起こすリスク

治療中に細菌が入り込むと、

  • 治療期間が長くなる

  • 痛みや腫れが出やすくなる

  • 治療後のトラブルが増える

といった問題が起こります。

患者さんと医療者双方を守る役割

ラバーダムは、
患者さんだけでなく、医療者を守る感染対策としても重要です。

 

ラバーダムは「安全性」のための器具

治療器具や薬剤の誤飲を防ぐ

治療中に使う器具や薬剤を、
誤って飲み込んでしまう事故を防ぐ役割もあります。

治療中の事故を防止する役割

安全に治療を行うための、
見えない安全装置とも言えます。

 

ラバーダムは苦しい?痛い?

患者さんが不安に感じやすいポイント

  • 息がしにくそう

  • 口が開けにくそう

  • 圧迫感がありそう

と感じる方もいらっしゃいます。

実際の装着感と安全性

実際には、
鼻呼吸は問題なくでき、痛みもほとんどありません。

当院での工夫と配慮

当院では、

  • サイズ調整

  • 声かけ

  • 体調への配慮

を行い、できるだけ負担の少ない使用を心がけています。

 

日本と海外でのラバーダム使用率の違い

海外におけるラバーダムの位置づけ

欧米では、ラバーダムは
「使うかどうか迷うもの」ではなく
「使うのが当然のもの」とされています。

日本で普及が進みにくかった背景

時間や手間の問題、制度的な背景もあり、
日本では普及が遅れていました。

近年の変化と考え方

日本国内ではまだラバーダム未使用の歯科医院が多いのが現状です。

一方で、日本の専門家団体(日本臨床歯科学会・SJCD)の会員を対象としたアンケート調査では、

約73%の歯科医師がラバーダムを使用していると回答しています。

これはあくまで高い研修レベルの歯科医師グループでの数字ですが、一般の歯科診療所では使用率がさらに低いと考えられます。

 

当院が保険診療でもラバーダムを使用する理由

「保険か自費か」ではなく「必要かどうか」

当院では、
治療に必要かどうかを基準に判断しています。

治療の質を下げないための判断

保険診療であっても、
治療の質を妥協しないことを大切にしています。

長期的に歯を守るための考え方

一時的な負担よりも、
歯を長く使えることを重視しています。

 

ラバーダムを使うことで得られる長期的なメリット

再治療のリスクを減らす

歯を残せる可能性を高める

結果的に治療回数・負担を減らす

 

 

よくあるご質問(Q&A)

Q. ラバーダムをすると息苦しくありませんか?
A. ラバーダムは口の周囲を覆いますが、鼻呼吸は妨げませんので酸素不足になることはありません。装着している間も通常通り鼻から呼吸できます。治療中はゆったりとした姿勢でいることで不安感も減り、多くの患者さんはすぐに慣れますのでご安心ください。

Q. 装着すると痛みや違和感はありますか?
A. ゴムシート自体に痛みはなく、使い捨てのものなのでゴムの匂いが気になる程度です。クランプで歯茎に圧力をかけると「挟まれるような感じ」や「ピリッとした刺激」を感じることがありますが、通常はほんの一瞬です。当院では必要に応じて麻酔(局所麻酔薬の塗布や表面麻酔)を併用し、痛みを抑えて装着しますので痛みは最小限におさえられます。治療中はむしろ口が水で満たされず快適だと感じる方が多いです。

Q. クランプで他の歯が痛くなったりしませんか?
A. クランプは治療歯に固定しますので、隣接歯や粘膜を傷つけるようには設計されています。ただし稀に歯冠の形状や金属冠がある場合には緩みにくいこともありますが、技工所製のゴムや歯科用のワックスなどで隙間を埋めたり、複数のクラウンをまたいで固定したりする工夫で対応しています。何か気になるときは歯科医師にお伝えください。

まとめ|ラバーダムは「見えないけれど重要な治療の質」

ラバーダムは目立つ器具ではありませんが、
根管治療の成功率を支える重要な存在です。

当院では、
「その歯をできるだけ長く守る」
という視点から、ラバーダムを大切にしています。

 

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参考文献・エビデンス

根管治療におけるラバーダム使用の効果や普及率に関する研究

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

nationaldentalpbrn.org

 

jstage.jst.go.jp

などを基に解説しました。